一番大切なことは、親子で対立しないこと。対立すればするほどゲームの世界に向かう
不登校のお子さんが
『長時間ゲームをしている』
そして
『注意してもやめない』
という親御さんの心配の声をよくお聞きします。
たしかにゲームを長時間することは親としては気になるところです。
しかしどんなこともそうですが
- 禁止
- 制限
といった”強制力”でお子さんを縛るには限界があります。
強い強制力でお子さんを縛っているとその先には,お子さんとの関係の悪化や断絶が待っています。
今、不登校という状況にあるお子さん。
親御さんには一番の味方でいていただきたい。
不登校のお子さんのゲームをどのように考えるといいか
考え方としては
- 『ゲーム時間を減らす』
ではなく
- 『お子さんの健康の時間を増やす』
ことに視点を置きます。
さて健康な生活とはどういうものでしょうか?
1、そもそも子どもさんの”心の状況”はいかがでしょうか?
不登校に至る過程で、心にダメージを受けてはいないでしょうか。
頑張りすぎて心のエネルギーは枯渇していませんか。
そもそも体と心に医療を受けるべき病気はないですか。
ゲームの世界は、お子さんに主導権があります。
- どんなゲームをするか
- ゲームをどうやって攻略するか
- 嫌になればリセットボタンを押す
- そして気が向けば再チャレンジします
- 何かトラブルがあっても現実社会のお子さんは痛くもかゆくもない
- 見方を変えればゲームに反応しているだけでお子さんは何も考えなくていい
- 何より楽しい
- 何もかも忘れて没頭できる
お子さんの心は、完全に守られる。
心を癒すには最適な場所といえます。
骨折しているお子さんに、安静にしていたりギブスを巻いていたら筋力が落ちるからといってギブスを外して歩く練習をさせたりしません。
骨折した骨がくっついて、それからリハビリをゆっくりとはじめるわけです。
考え方としては、同じです。
まず安静にして骨がくっつくのを待つように、心も修復されるまで安静にすることが必要です。
お子さんの心は、今どのようにありますか?
2、お子さんがゲームの世界から戻ってくることにふさわしい世界(学校、社会)でしょうか?
不登校になった経過の中でお子さんは、学校または社会(大きく言えば世界)をどのように受け止めておられるでしょうか?
学校(または社会)は、
- 正しいことが行われている
- きちんと努力を認めてくれる
- 秩序が保たれている
ととらえられているでしょうか。
学校(つまりは社会)に正義があれば、心の状態が落ち着けば自分の将来のことを考え
「このままではいけないな」
と思うこともできるようになります。
しかし
- 学校は、正しいことをしない
- 隠ぺいした
- 嘘をついた方が得だ
- 先生はえこひいきをする
- 自分の努力を認めてもらえなかった
- 叱られるばかり
などと思っていれば、
「どうだっていい」
と投げやりな気持ちになることは自然なことではないでしょうか?
そもそも現実問題に向き合うことは苦しくてつらいことです。
ゲームの世界に逃げ込むのも当然といえます。
例えばいじめであれば
- 先生たちはあやふやな対応をしている。
- そして謝罪がないまたはも誠意がない対応。
- 加害側は何も変わらず、楽しく学校にいっている
例えば発達的な課題があるなら
- 努力をしてもどうしてもやるのが難しい課題がある。
- それを叱られたり、バカにされたりする友だちや先生がいる
すべてを完全に解決しなければいけないわけではありません。
しかしせめて先生、親といった主要な大人が
- お子さんに身に何が起きたかを正しく理解している
- そして解決に向けて尽力している
という方向性は大切です。
お子さんに自信をもって
「ゲームをやめて、学校(社会)に戻ってきて」
と言えますか?
お子さんの心、そして学校(社会)の状況いかがでしょうか?
1、と2は、100点でなくてもいい。
お子さんの心が100%回復するのは難しい時もあります。
そして学校(社会)が100%素晴らしい世界であるなんてありえません。
ただ、ご理解はください。
そうすればやみくもに
- ゲームはダメ
- 一日何時間まで
ということにはならないのではないでしょうか?
3、そもそも本当にゲームは悪か
ゲームは本当にそんなに悪いものでしょうか。
考えていただきたいなあと思っています。
①『ゲーム脳』は間違いだった
実はゲームが体に悪いという科学的なデータはありません。
2002年ある研究者が出された「ゲーム脳」という考え方がとても話題になりました。
ゲームをしていると認知症の方と同じ脳波だ出るとかなんとか!!
しかしのちにデーターの取り方が不十分だと検証されています。
今ではエセ医学に分類されているのです。
②ゲームで能力がUPするという研究結果が出てきている
≪ABEMA NEWSの「3時間なんて3秒」ゲームで脳が活性化?適正なプレイ時間を議論≫から
〇アメリカの研究チーム
9から10歳の子ども2000人を分析。
3時間以上ゲームをした子の脳をスキャンの結果
記憶力と行動制御能力のテストで好成績だった。
〇ドイツ研究チーム
健康な24歳の男女48名に2か月間1日30分スーパーマリオ64をやってもらった後、脳の状態を確認した結果。
記憶をつかさどる、右海馬、右前頭前皮質、および小脳の灰白質の細胞の量が多くなっていた。
つまり、記憶力が高まったということ。
さてこのような研究の結果をどう読み取るかは本当に難しいことです。
そもそもの脳は個性が大きいのですから同じ時間、同じゲームをしたとしても同じ影響を受けるわけではないからです。
さてWHO(世界保健機関)では、新たな病気『ゲーム障害』としてを2019年5月に国際疾病分類に加えました。
これからは病気という観点で科学的なデータが蓄積されます。
またファミコン世代が(1983年一号機発売)が高齢者になったとき、何かしらの傾向が出るかもしれません。
ゲームとどう向き合うか
これからいろいろ情報が出てくるでしょう。
④ゲームありきの子育て⁉
今の日本の社会は
- 今や子どもがやりたいことをやれる場所はありません。
- 子どもが遊べる空き地なんて存在しません。
- ほとんどの公園で球技は禁止されています。
- 田んぼに入ると学校に電話が入ります。
- 夏の外は命に係わるくらい暑くなります。
- 時々???いや頻繁に不審者がでます。
子どもたちは家の中で、遊ぶしかない。
そして習い事や塾のある子は、細切れの時間しかないのですが、ゲームなら細切れぼ時間でも十分楽しめます。
ゲームほど今の子どもたちの生活にぴったりした遊びはありません。
そして何より子どもたちはゲームが大好きなのです。
ゲームありきの子育てにシフトするしかないと思っています。
一番大切なこと
不登校のお子さんが学校などに行かず、ゲームやに多くの時間を費やしている
そういうお子さんを親御さんは心配している
それはお子さんを大切に思うからこそ。
決してお子さんと対立しないでください。
本末が転倒します。
一番お子さんに伝えていただきたいことは
お子さんを大切に思っていることです。
その上で
これからの新しい世界を歩いていくお子さんに
「どうゲームと付き合うか」
知恵を絞り、お子さんに伝えていけかなければなりません。
まずはお子さんと対話してみましょう。
決めつけないでお子さんの話に耳を傾けてください。
参考:ゲーム障害について
WHO(世界保健機関)では新たな病気として2019年5月に国際疾病分類に加えました。
診断にあたっては問診で次の4つの症状を確認します。
- ゲームをする時間をコントロールができない。
- ほかの生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先する。
- ゲームによって問題が起きているにもかかわらずゲームを続ける。
- 学業や仕事、家事などの日常生活に著しい支障がある。
上記の4項目のすべてが当てはまり、12か月以上続く場合に「ゲーム障害」と診断されます。
ただし、この4つの症状がすべてが当てはまり、しかも重症である場合には、継続時間が12か月よりも短くてもゲーム障害と診断されることがあります。