発達障害、HSC、感覚過敏、不登校・・・法的な根拠をしっかり持って、学校と対話をしていきましょう!
『学校にどこまでお願いしていいのか』
『そんなこと学校はしてくれるでしょうか!!』
『それはわがままでは?』
『クレーマーでは??』
お子さんが学校での生活をしんどいと感じた時
- 学校がこのようにしてくれると助かる
- こういう配慮があればありがたい など
子どもさんや親御さんが感じることがあります。
しかし
- 多くの子が通う学校で
- 先生の忙しさを思うと
お願いしにくいと躊躇されることは多いのです。
しかしこれは合理的配慮といって、きちんと法律で定められています。
行政機関(つまり公立の学校)では、2016年から義務化されています。
また2024年からは一般の事業者も(つまり私立の学校なども)義務化されます。
2016年 障害者差別解消法
「障害を理由とする差別解消を推進しすべての国民が人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現」
合理的配慮とは
障害者が社会で出会う困りごとや障壁を取り除くための調整や変更のこと
当事者や家族などから求められた場合、負担が重すぎない範囲で対応する
対象は
日常や社会生活に相当な制限を受ける人すべてが対象
身体障害
知的障害
精神障害(発達障害、高次脳機能障害)
心と体の動きの障害(難病を含む)
※障害者手帳や医師の診断は必要ではありません。
法律で義務化されているのですから、子どもさんの困りごとは、
- 先生に悪いとか
- クレーマーに思われる
- 自分の子だけ申し訳ない
などといった感情に左右されることなく、お伝えされることが法的に認められているということです。
合理的配慮を受けるには
合理的配慮の始まりは
- 当事者や家族などから求められたとき
です。
とにかく申し出ましょう。
- 何をどう困っているのか。
- 学校にどうしてほしいのか。
そうしないと何も始まらないのです。
しかし申し出たことがすべて採用されるわけではなく
- 学校の負担が重すぎない範囲で対応する
となっています。
学校側がその合理的配慮を提供すると過度の負担がある
つまり合理的でないと判断されると配慮を受けることができません。
学校には、お子さんの困り感をしっかり理解いただいて、前向きな対話を積み上げていってください。
配慮してもらえないとき
お子さんと親御さんが納得のいくように
- 学校の負担が大きすぎるという事情
を説明をしてもらってください。
文部科学省もただ却下するのではなく
- その理由を理解してもらえるように説明する
- 代替え案が提示する
ことを学校に通達しています。
合理的配慮は義務化されているのですから、学校側も却下するには、きちんとした理由が必要です。
法律で定められているということはそういうことなのです。
理由に納得できなければ
- 管理職の先生
- 市町村や都道府県の教育委員会
- 文部科学省 など
に相談していかざる得ません。
ポイント!!
合理的配慮は、義務として法的に決められているのに、あいまいな部分が多いです。
逆から見れば、子どもさんの現状に合わせていけるとも言えます。
また
- 医師の診断
- 障碍者手帳
- 支援学級への在籍
という条件は、言及されていません。
発達障害、病気といったことに狭く限定しなくてもいいのです。
支援の必要なお子さんすべてが対象といえます。
お子さんのために何がどうあればいいか。
法的な根拠をしっかり持って、学校と対話をしていきましょう!
参考
学校における合理的配慮の例
〇文部科学省のHPから
- 別室受検(自閉症、高機能自閉症、LD、アスペルガー症候群、ADHD等)
- 試験時間の延長(LD)
- 集団面接を個人面接で実施(自閉症)
- 問題用紙の拡大(LD、広汎性発達障害)
- 問題文の読み上げ(LD)
- 監督者による口述筆記(LD)
- 前日に試験会場の下見(高機能自閉症)
- 介助者が同席(自閉症)
- 保護者の別室待機(ADHD)
- 学力検査問題の漢字のルビ振り(LD)
- 集団面接の際、誰かが先に行動を見せないと自分ではできない面がある生徒に対し、同じ中学校の受験生と同じグループで受検させた(アスペルガー症候群)
- 面接の際、質問をわかりやすく伝え、回答を急かさない(LD)
- 面接の順番を早める(高機能自閉症)
〇山口県教育委員会の冊子から
聞くことが苦手な人に
□ 視覚的な情報の提示
□ 話し方の工夫(ゆっくり、簡潔に)
□ ICレコーダー等の機器の使用
□ 「5W1H」を整理できるワークシート の使用
□ 話をしっかり聞く時間の保障
話すことが苦手な人に
□ 音声教材(読み上げ機能等)の使用
読むことが苦手な人に
□ ルビをふる、文字の拡大
□ 写真、イラスト等の視覚的な情報の提示
書くことが苦手な人に
□ 個に応じたワークシートの使用
□ パソコンやタブレット端末の使用
□ 筆記の量の調整□ 計算問題の量の調整
□ 個に応じたワークシートの使用
計算することが苦手な人に
□ 具体物や計算機等の使用
不注意、多動な人に
□ 具体的なスケジュールの提示
□ 教室環境や活動量の調整
衝動性な人に
□ メモ帳やICレコーダー等の使用
□ 気持ちが落ち着く場所の用意
□ 状況を振り返る機会の確保
対人関係が苦手な人に
□ VOCA(音声出力コミュニケーション 機器)等の使用
□ 具体的で分かりやすい言葉の使用
□ 集団内での役割分担の明確化
□ 周囲の幼児児童生徒への理解
感覚過敏な人に
□ 刺激の量の調整(教室内の掲示物等)
□ イヤーマフ等、刺激を軽減する道具の使用